レバレッジETFは「逓減」との戦いである
2022年12月15日投稿記事 【逓減分析シリーズ】コロナショックで【SPXL】は 27.9% 逓減した より画像再掲
パウエルショックで【SPXL】は 15% 程度逓減する見込み
そこで得られた知見を活かして、なんらかの法則性を見つけ、
将来の予測に役立てることができないだろうか、と考えました。
特に昨年来、FRBパウエル議長のインフレ退治で引き起こされた株価下落、
ここでは「パウエルショック」と呼ぶことにしますが、
このパウエルショックで、【SPXL】がどの程度逓減することになるのか、
予測してみることにしました。
「S&P500指数【SPX】の最大下落率とレバレッジETF【SPXL】の逓減率には相関がある」
このことに着目し、自分なりに数理モデルを作ってみました。
数理モデルの内容の詳細は割愛しますが、
結論から言いますと、
今回のパウエルショックで、【SPXL】は、15.2% 逓減する見込みです。
ざっくり 15% 程度逓減する見込みです。
あまり想像したくないことですが、
仮に昨年つけた底値を、今年さらに下回ることになれば、話は別です。
逓減はさらに進行(パフォーマンス悪化)することになります。
ここでは、昨年の底値から回復していく楽観的な想定で計算してみました。
それでは、バフェット太郎さんの示した、
戦後77年間の弱気相場のそれぞれについて、
数理モデルの計算結果を一覧で示します。
一覧の最後に、
今回のパウエルショックの予測値を載せています。(数理モデルの水色部分)
2023年1月3日(火)バフェット太郎の投資チャンネル
2022年振り返り 2023年米国株は爆上げ!
S&P500の各弱気相場別の最大下落率(%)より画像引用
レバレッジETF【SPXL】の逓減率(数理モデルによる推定値)
★ご注意★
レバレッジETF【SPXL】は2008年11月に設定されたため、それ以前の実績値が存在しません。
数理モデルによる推定値のため、2020年のコロナショック等、
実績値で検証できる実際の逓減率とは若干の乖離が生じています。
したがいまして、あくまでも「近似値」を示すものとして、
ご参考にしていただけますと幸いです。
逓減の問題に終止符を打ちたい
もっとも最大下落率の大きかったものは、
2009年の金融危機、いわゆるリーマンショックだったことが分かります。
(数理モデルの桃色部分)
このときの推定逓減率 59.2% の意味するところは、
リーマンショックの底値から、
S&P500指数【SPX】が全面回復(最高値を再更新)しても、
その時点で、レバレッジETF【SPXL】は 59.2% 逓減していますから、
100% – 59.2% = 40.8%しか手元に残っていない、ということです。
言い換えると、リーマンショックの直前の最高値で、
レバレッジETF【SPXL】を全力買いして持ちっぱなしにすると、
ざっくり6割失い、残っているのは4割だけ、
その後の株価成長に期待するより他にない、ということになります。
待ちきれず、見切りを付けて他の金融商品に乗り換える動きもあるでしょう。
こういったことは、もちろん滅多に起きないことではあるけれども、
これから同様のことが起こる可能性はゼロではありませんので、
心の片隅に留めておく必要があります。
それに比べれば、今回のパウエルショックは軽微な影響で済みます。
ざっくり15%を失い、85%が残る見込みです。(数理モデルの水色部分)
この推定逓減率 15.2% を大きいと見るか、小さいと見るか?
大切な資金をしっかりと守りたいわけですから、看過できない事態です。
「もったいない、回避したい」と思うのが自然な気持ちだと思います。
(だからこそ、はじめからレバレッジETFを敬遠する人がいることは現実としてあります)
それを差し引いてもなお、
レバレッジETFに無限の可能性を感じる私としては、
どうにかして「逓減の問題に終止符を打ちたい」と考えるわけです。
コロナショック級の暴落ならリバランスでリカバリーは充分可能
私は「リバランス」という解決法を見い出し、
それを実戦で運用しています。
その運用ルールを定めたものが、
米国株投資の基本方針「令和式目」と呼ばれるものです。
令和式目は、実戦で得られた知見によってアップデートを繰り返し、
現在「令和式目 ver.3.2」となっています。
これに従えば、
2020年のコロナショック級の暴落であれば、リカバリーは充分可能です。
そこで、バックテストを紹介します。
以下、4つの暴落事例において、すべて良好な結果を示しています。
私が運用している米国株ポートフォリオは、
「薔薇の艦隊」という愛称で呼ばれています。
わが薔薇の艦隊は、
ベンチマークとしているS&P500指数【SPX】を、
最高値再更新の時点でアウトパフォームできています。
バックテスト① 2020年 コロナショック
バックテスト② 2018年 クリスマスショック
バックテスト③ 2018年 VIXショック
バックテスト④ 2015年 チャイナショック
リーマンショック級の大暴落は「ボーナスステージ」である
通常のリバランスでリカバリー可能です。
一方、リーマンショック級の大暴落の場合、
レバレッジETFの逓減率が極端に上昇することから、
通常のリバランスだけでは、リカバリーに限界があることが分かっています。
そのため、対処法としては、
そのときこそ、普段行わない「外部からの大規模な追加資金の投入」により、
「倍返し」を図る、というシナリオを描いています。
「危機こそ好機」と言われます。
「ボーナスステージの到来」と前向きにとらえ、
大暴落に遭遇しても冷静に対処し、
明るい未来への展望を抱きながら、
前へ前へと進んでいきたいと考えています。
カテゴリー「逓減分析シリーズ」はこれで最終回となります。
これからも、薔薇の艦隊への応援をよろしくお願いいたします。
レバレッジETFの運用は、「逓減」との戦いです。
逓減とは、株価の上下を繰り返すうちに、
パフォーマンスが徐々に悪化する現象です。
元となる参照指数が全面回復(最高値を再更新)しても、
レバレッジETFのほうは回復しきれていない。
そうやって後れを取っていく現象です。
ゆえに、レバレッジETFの運用に際しては、
持ちっぱなし(バイアンドホールド)は善とは限らず、
適時適切にリバランスが必要、
というのが、実戦から私が得た教訓です。
米国株投資において、
私はレバレッジETFのひとつ【SPXL】を使っています。
【SPXL】の原指標(元となる参照指数)は、S&P500指数【SPX】であり、
【SPX】の日々の値動きの3倍のレバレッジをかけたものが、【SPXL】となります。
私はこれまで、
過去に遡り【SPX】と【SPXL】の関係性を調査し、
この逓減の実態を観察してきました。
具体例をひとつ示します。
この逓減分析シリーズの冒頭でも紹介しました、コロナショックの逓減率です。
【SPXL】は 27.9% 逓減したことが分かります。