レバレッジETFは「逓減(ていげん)」との戦いである
2021年7月2日(金)ますまに レバレッジETFの本当の魅力!
今回のパウエルショックでレバレッジETF【SPXL】は 26.9% 逓減した
前回、S&P500【SPX】が最高値を更新したのは、
2022年1月3日(月)のことでした。
したがって、最高値更新に2年以上を要したことになります。
背景には、金利上昇を嫌気した株価低迷がありました。
米国FRBパウエル議長のインフレとの戦いが印象的でした。
当ブログにおいては、奮戦するパウエル議長にちなみ、
今回の足掛け2年に渡る株価低迷を、
「パウエルショック」と呼ぶことにしております。
では、今回のパウエルショックにおいて、
レバレッジETF【SPXL】のパフォーマンスはどうだったのでしょうか?
S&P500【SPX】との比較のためにグラフに示してみました。
逓減しているのが明確にわかります。
S&P500【SPX】と比較すると、
パフォーマンスが劣後していることが明確に示されています。
つまり、原指標であるS&P500【SPX】が、
過去最高値の水準に回復したにも関わらず、
レバレッジETF【SPXL】のほうは、
大底以降の増価の力をもってしても、
元の過去最高値の水準に回復していません。
これが逓減の実態です。
逓減率にして、26.9%となります。
実は昨年、2023年1月9日(月)の記事で、
私は逓減率を15%になると予想していました。
実際の逓減率26.9%と比較すると、
残念ながら大きく乖離した結果となりました。
2023年1月9日投稿記事 【逓減分析シリーズ最終回】今回のパウエルショックで【SPXL】は 15% 逓減する見込み
株価低迷の期間が長期化したことが挙げられます。
つまり、
株価の上下にさらされる期間が長引けば長引くほど、
より逓減の効果が大きく発現する。
当然と言えば当然の帰結です。
私が予想の時点で使用した数理モデルは、
期間のパラメーターをあえて考慮していませんでした。
シンプルに、
最大下落率のみをパラメーターとして使用していたため、
株価低迷長期化の影響を、
逓減率の予想に正確に反映させることができなかったと考えられます。
今回の検証で得られた知見を活かし、
レバレッジETFをより賢く使いこなせていけるように、
精進していこうと決意を新たにした次第です。
そしてさらに、
適時適切にリバランスすることの重要性を再認識した次第です。
今後とも、
こういった逓減分析、予実検証を続けていく所存ですので、
読者の皆様の応援、引き続きよろしくお願いいたします。
今回の記事は以上となります。
お読みいただきありがとうございました。
レバレッジETFの運用は、
「逓減(ていげん)」との戦いと言っても過言ではありません。
逓減とは、
株価の上下を繰り返すうちに、
パフォーマンスが原指標より劣後する現象のことを言います。
例えば、
レバレッジETF【SPXL】であれば、
参照する原指標は、S&P500【SPX】となります。
S&P500【SPX】の日々の値動きに、
3倍のレバレッジをかけたETF、
それが【SPXL】ということになります。
長期的に右肩上がりが期待できるので儲かりそうに見えます。
しかし注意すべきことは、
レバレッジETF【SPXL】は、株価の上下を繰り返すうちに、
S&P500【SPX】よりパフォーマンスが劣後する特性があることです。
レバレッジETFの三大特性、「増価・減価・逓減」のうち、
私たちはともすると、
上昇相場における「増価」の良い面ばかりに注目してしまいがちです。
しかし、負の側面、「減価」と「逓減」があるという現実を直視する。
そうすることで、
レバレッジETFをより賢く運用することができると考えています。
●逓減についての詳しい解説は、ますまにさんの下記動画をご参照ください。
ますまにさんは題材として【SOXL】を取り上げていますが、
レバレッジETFの原理は【SOXL】も【SPXL】も同じです。