レバレッジETFは「逓減(ていげん)」との戦いである
2021年7月2日(金)ますまに レバレッジETFの本当の魅力!
コロナショックで【SPXL】は 27.9% 逓減した
2020年のコロナショックです。
コロナショックは2020年3月23日に大底を記録しました。
その直前、
S&P500指数【SPX】が最高値を更新したのは、
2020年2月19日のことでした。
そしてコロナショックを経て、
S&P500指数【SPX】が再び最高値を更新したのは、
2020年8月18日のことでした。
では、レバレッジETF【SPXL】のほうはどうだったか?
比較のためにグラフに示してみました。
追い付いていないことがわかると思います。
つまり、原指標であるS&P500指数【SPX】は、
過去最高値の水準に回復したにも関わらず、
レバレッジETF【SPXL】のほうは、
大底以降の増価の力をもってしても、
元の過去最高値の水準に回復していないのです。
これが逓減の実態です。
逓減率にして、27.9%となります。
追い付くためには、更なる上昇が必要となります。
運良く、その後、コロナバブルが発生し、
強い上昇相場の追い風を受け、
やがて追い付き、追い越していきました。
あのときは、運が良かっただけかもしれません。
今年、2022年に直面したインフレ退治に伴う株価暴落、
ここでは「パウエルショック」と呼ばせていただきますが、
果たしてどうなるでしょうか?
年初の最高値水準を回復するのがいつになるのか?
それは誰にもわかりません。
神のみぞ知る世界です。
しかし、長期的に株価は上昇する趨勢にありますので、
いずれは回復することでしょう。
重要なことは、回復を待っている間、
レバレッジETFの逓減がどれだけのハンデとなるのか?
つまり、逓減の規模感を予想しておく。
このことで、少なくとも気持ちの上で一定の見通しが立つので、
さすがに安心とは言わないまでも、
覚悟という意味で、見通しがあるのとないのとでは、
腹の括り方に雲泥の差が生まれるのではないかと考えています。
今回新設した「逓減分析シリーズ」において、
今後、逓減率の予想を立てていきたいと考えています。
そして実際との比較(答え合わせ)によって、
予想の精度をさらに高めていければ、と考えています。
レバレッジETFの運用は、
「逓減(ていげん)」との戦いと言っても過言ではありません。
逓減とは、
株価の上下を繰り返すうちに、
原指標より劣後する現象のことを言います。
例えば、
レバレッジETF【SPXL】であれば、
参照する原指標は、S&P500指数【SPX】となります。
【SPX】の日々の値動きに、3倍のレバレッジをかけたETF、
それが【SPXL】ということになります。
長期的に右肩上がりなので儲かりそうに見えますが、
株価の上下を繰り返すうちに、
S&P500指数【SPX】より劣後する場面がある。
そういった特性があることに留意する必要があります。
レバレッジETFの三大特性、
「増価・減価・逓減」のうち、
私たちはともすると、
上昇相場における「増価」の良い面ばかりに注目してしまいがちです。
しかし、負の側面、
「減価」と「逓減」があるという現実を直視する。
そうすることで、
レバレッジETFをより賢く運用することができると考えています。
今回、「逓減分析シリーズ」というカテゴリーを新設し、
レバレッジETFにおける逓減の実態を調べてみることにしました。
●逓減についての詳しい解説は、
ますまにさんの下記動画をご参照ください。
ますまにさんは題材として【SOXL】を取り上げていますが、
レバレッジETFの原理は【SOXL】も【SPXL】も同じです。