鮎茶屋 平野屋(あゆちゃや ひらのや)
まるで「まんが日本昔ばなし」の世界だな。
愛宕(あたご)信仰で知られる場所でございます。
愛宕神社の参詣者に対し、
平野屋さんは四百年前から、
名物団子「志んこ(しんこ)」でもてなしてきた茶店です。
また鮎問屋を営んでいたこともあり、
やがて鮎料理を提供するようになったとのことです。
水の音、鈴虫の声・・
奥嵯峨の風情を満喫できる場所ね。
なんとも風流だな。
志んこは、
ニッキ・お茶・白の三色団子に、
きなこと黒糖がまぶしてある。
ねじれた形は、
愛宕神社に至る愛宕山の山道を表現しているのね。
機械の製造工程では得られない、
手造りならではの味わいね。
派手好きな信長がこんにゃくを赤く染めるように命じたと、
安土城のある滋賀県近江八幡市地域に伝承されている。
一方、京都の愛宕神社と言えば、
本能寺の変の直前、
明智光秀が戦勝祈願に訪れ、
おみくじを引いた場所として知られる。
時は流れ、
愛宕山のふもとで、
こうして信長ゆかりの赤こんにゃくが提供されている。
これを見て、明智光秀はあの世から何を思うだろうか。
さて、ここから平野屋さん自慢の鮎料理の登場です。
平野屋さんの鮎を大変気に入り、
毎年のように訪れていたそうです。
著書で平野屋さんを次のように絶賛しています。
鮎そのものがどんなにおいしくても、
焼きかた一つでうまくもまずくもなる。平野屋さんはその焼きかたが芸術的に上手なのだ。
白洲正子著「夕顔 / 鮎だより」より引用
まさに王道中の王道。
保津川源流で釣った鮎を、
店の生簀で一晩休ませ、
客に提供する直前に、
串で刺し、塩を振り、炭火で焼いた芸術品。
余談だが、
かの文化人、北大路魯山人は、
輸送手段が未発達の時代、
日本一美味しい鮎とされる保津川の鮎を、
生きたまま京都から東京まで運ばせたそうな。
日本人としての「安心感」を感じてしまうのでございます。
昔ながらの日本の味。
彩りは地味ながら、
心に安らぎを与えてくれる味だと思います。
蓼酢の蓼の葉。
ピリッと辛い日本の香草ね。
天麩羅とはこんなに旨いものか。
素材のみずみずしさを感じる天麩羅。
平野屋さんの天麩羅は異次元の美味しさだ。
おわん型の豆腐の中心に、
和からしが入っていて、
夏季限定の味とのこと。
赤だしでありながら、
深みと広がりを感じさせる芳醇な味わいだ。
私の普段の食生活において、
納豆と並んでベーシックインカム的な存在です。
お手本のような御飯ね。
器もいいですね。
夏の涼を感じます。
京都五花街とのつながりがあるのね。
平野屋さんは、美味しくて風情があって、
とても素敵なお店だったわ。
ごちそうさまでした。
世界に誇る京都の食文化が、
これからも継承されることを希望します。
平野屋さん、ごちそうさまでした。
最新の平野屋さんの公式サイトによりますと、
来月10月1日からお料理が値上げされます。
物価高騰の影響がここにも現れています。
また、10月11日から政府の水際対策が緩和されます。
①1日あたり5万人の入国者数の上限撤廃
②ビザ取得の免除
③個人旅行の再開
これにより、京都への外国人観光客の増加が予想されます。
インバウンド再開で、
これまでの観光業の損失を挽回できるといいですね。
外国人観光客で混雑する前に、
京都を存分に楽しんでおくのが得策と考え、
京の夏の旅を企画いたしました。
旅の最後に、
再び大覚寺にご案内いたします。
殿下、妃殿下、御乗車くださいませ。
京都の鮎料理の老舗、平野屋でございます。