行動心理学
かつて、ある専門家から聞いたことがある。
「行動を習慣化するには、即効性のある結果を実感できることが重要」
つまり、やってみて、すぐに効果が感じられるとき、
人間はその行動を継続することができる。
やる意味があるから。
反対に、どんなにやっても、効果が感じられない行動は、
苦痛に感じて、途中で挫折してしまう。
やる意味がないから。
ひるがえって、投資における行動のひとつに、「ナンピン」がある。
将来、反転上昇することを期待して、
相場下落局面で、積極果敢に買い向かう投資行動のことをいう。
個人差はもちろんあるだろうが、
相場が市場参加者の総意とするなら、
どんな条件が揃ったら、ナンピンが継続できるのか?
あるいは中断してしまうのか?
行動心理学的にこれは大変興味深いテーマだと思う。
レバレッジETFのナンピン買い 【TECL】vs 【CWEB】
直近五年の推移
橙:S&P500指数【SPX】=ETF【VOO】や【IVV】と同等
青:レバレッジETF【TECL】
赤:レバレッジETF【CWEB】
(Bloomberg より引用)
チャートで【TECL】と【CWEB】を比較してみよう。
2020年3月のコロナショック直後は、
両者とも力強い反転上昇を見せた。
だが、2021年2月を境に、対照的な動きとなった。
【TECL】は上昇基調を継続。
【CWEB】は下落基調に転じた。
この違いはどこから来たのか?
【CWEB】はナンピン買いを諦め、見切り売りの勢力が優勢となっている。
米中対立で中国関連銘柄から資金流出していることが要因のひとつだが、
それだけではないとみる。
やはり、ナンピン買いしても、
すぐに効果が出ないことに、嫌気が差しているのではないか?
だから、「もう待てない、売ろう」となる。
ナンピンの意欲が萎える分岐点、
それは下落基調がどれだけの期間続くのか、
その期間の長さに応じて、
人間の忍耐力の限界が試されているのだと考察する。