「キャッシュの安定感をどこで組み込むか?」
これは、投資家の永遠の課題のひとつである。
特にレバレッジをかけている投資家にとっては、
強烈な減価を回避する意味で、
キャッシュをいつのタイミングで、
どれだけ組み込むかが重大な関心事と言って良い。
キャッシュに替えておくことは、
暴落時において、評価額の減少を回避する最善の策である。
ゆえに、キャッシュを持つことは安定感や安心感につながる。
(一方、暴落時に評価額を増加させようと思えば、
ショート(売り)ポジションを持つという選択肢もあるが、
ここでは横に置いておく。)
振り返れば、コロナショック後の急速な株価回復を受けて、
レバレッジETFで資産を増やすことが最強である、
という風潮が蔓延している。
株価上昇の機会損失を回避するため、
「フルインベストメントを是」とする考え方が優勢となっているように感じる。
この場合のフルインベストとは、
もちろんロング(買い)でのポジションのことだ。
手持ちの現金をすべてロングポジションに投入してしまうということだ。
それはそれでひとつの投資手法である。
ただし、これがうまく機能するには条件がある。
暴落に遭遇せずに右肩上がりに株価上昇を続けること。
そうすれば、最大限のリターンを享受することができる。
問題は、そんなに都合の良い相場が、今後も続くわけがないということだ。
直近の世界同時株安で、幾分かの調整が入った。
レバレッジETF【SPXL】の場合、
最高値から最大約2割程度の下落となっているが、さて、これからどうなるか。
上がるのか、下がるのか?
それは誰にも分からない。
チャートを見れば、市場参加者の迷いが感じられる。
このまま残るか、いったん離れるか、迷っているようだ。
50日移動平均を下回る状況が続いている現在、
多くの投資家がそれぞれ、自分のポジション構成、
ポートフォリオの組み入れ比率をどうするか、
真剣に考えている最中なのだと思う。
私の見解を述べさせていただくと、
キャッシュをいつどこで組み込むか、という問いに対しては、
いつというより、
常にキャッシュは一定程度スタンバイ(待機)させておくべきだ。
フルインベストメントについては、私にとって、
「何をそんなに熱くなってるの?うまくいったらいいね!頑張ってね!」
程度の感触であり、
そううまくいかないことも事前に想定すべきと考える、
どちらかといえば冷めた立場である。
暴落はいつ起こるか予測不可能であるというのは、
今や常識となりつつあるなかで、
ロングポジションの、
それもレバレッジでのロングポジションをフルインベストメントで問題なし、
と考える投資家は、私から見れば、余程楽観的な想定をするな、と感じるし、
裏目に出たときのリスクをどう考えているのだろうか、と疑問に思う。
よって、暴落に備えて、
底値買いのための余力資金を一定程度確保しておくのは、
至極当然のことであると考える。
いつどのタイミングでなどということではなく、
常に、今、キャッシュを持っておくべきだ。
暴落が来たら、底値買いを実行すること。
そのためには、常にキャッシュを持っていなければ、
「いざ鎌倉!」というとき即応できない。
そしてもっと重要なのは、
少し下落したからといって、慌てて全力買いするのも頭が足りないということ。
ドローダウン(最高値からの下落率)に応じて、
どれだけ余力資金から充当するか、事前に考え抜いておくことだ。
レバレッジをする以上は、半値以下に下落するのは普通のことである。
その半値以下になったタイミングで、
底値買いの余力資金がなにもない、というのは、
もはや「無策」の烙印を押されても仕方のない話だ。
なぜなら、底値からの反転上昇、
その増価の威力を味方につけることこそ、
レバレッジをかける最大の効用なのだから。