アラガン【AGN】を独自基準で銘柄格付します。
【データソース】株価推移は Bloomberg、財務推移は Morningstar です。
Ⅰ)株価推移 直近五年 ※橙はS&P500指数ETF【IVV】
Ⅱ)財務推移 直近五年
Ⅲ)審査
①【株価推移】
直近五年でS&P500指数をアウトパフォーム
※最新終値ベース
→非該当: 加点なし(0点)
②【売上高】
直近五年で一貫して増加
→非該当: 加点なし(0点)
③【フリーキャッシュフロー】
直近五年で一貫して増加
→非該当: 加点なし(0点)
④【配当総額】
直近五年で一貫して有配かつ増配
※増配は一株ベースではなく総額ベース
→非該当: 加点なし(0点)
⑤【フリーキャッシュフロー / 売上高】
直近五年で一貫して20%以上を維持
→非該当: 加点なし(0点)
買収される側の製薬会社、アラガン【AGN】を精査することにしよう。
株価推移と財務推移を見ての第一印象は「不安定な経営」である。
同社を巡っては、
2016年に製薬業界の雄、ファイザー【PFE】が、
アラガンに対して買収を試みたが、結局実現しなかった。
実現していた場合、
1,600億ドル(1ドル107円換算で約17兆円)の大型買収となっていた案件だ。
注目すべきは、
買収撤回後、2016年以降、アラガンの株価が長期下落傾向にあることだ。
S&P500指数に大きく劣後している有様である。
今回のアッヴィによる買収は、
630億ドル(約6兆7,000億円)の買収金額で成立した。
この金額は、ファイザーのときの4割程度に過ぎないことから、
今にして思えばファイザーに買収されていたほうが
アラガンにとっては良かったのかもしれない。
今回のアッヴィによる買収発表で、
アラガンの株価が25%以上急騰したことだけが救いではある。
これに対し買収する側のアッヴィの株価が暴落しているのはなんとも皮肉な話だ。
いずれにせよ、製薬業界の買収案件は、
何兆円、何十兆円単位の莫大なお金が使われることに改めて驚いた。
この企業買収、つまり「M&A」というのが曲者である。
製薬会社の株主にとっては、そんなにお金があるのなら、
買収合戦で使われるより、配当や自社株買いを通して、
しっかりと株主還元してほしい、というのが本音であろう。
だが、競合との合従連衡を模索していかなければ
生き残っていけない熾烈な業界であることは確かである。
製薬業界は、儲かる金額も高額だが、M&Aに使われる金額も高額。
私から見れば「消耗戦」の様相だ。
そういう意味では、
ただ単純にフリーキャッシュフローが多額に存在するからと言って、
それがそのまま株主に還元されるとは限らないということ。
多額の現金が、買収案件に消費されるリスクがあることは、
充分承知しておく必要があるだろう。
市場は買収に見合う効果を「アッヴィの保有株主に対して」生まないと評価して、
株価暴落という形で回答した。
一方、買収される側の「アラガンの保有株主に対して」有利と市場は評価して、
株価急騰という形で回答した。
保有株主の立場で考えることが、極めて重要であると再認識した次第である。
Ⅳ)格付 ※最高評価は五つ星。最低評価は星なし。
投資決定は自己責任でお願いいたします。
そして、薔薇の艦隊は、必ず百年戦争(人生百年時代)に勝利する。
銘柄格付を通して、前途有望な米国株銘柄を探求しよう!